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六さんの法律相談室

第一回「保証人の責任」第二回「この話、ほんと?」第三回「遺言書」第四回「日照通風被害」
第五回「名前の変更(その1)」第六回「名前の変更(その2)」第七回「落とし物(遺失物)」
第八回「内容証明郵便」第九回「氏(姓、名字)と戸籍(その1)」
第十回「氏(姓、名字)と戸籍(その2)」第十一回「氏(姓、名字)と戸籍(その3)」
第十二回「氏(姓、名字)と戸籍(その4)」第十三回「公正証書」第十四回「慰謝料」
第十五回「扶養」
第十六回「遺留分」第十七回「子の行為に対する親の責任」
第十八回「労災と自動車保険による賠償の関係」第十九回「子の債務に対する親の責任」

第一回「保証人の責任」(さるぼぼ倶楽部平成11年11月号掲載)

質問1 亡くなった父が生前、知人の保証人だったということが分かりびっくりしています。保証人の責任について法律的なことを教えてください。保証人というのは、どんな立場の人ですか。

 保証という約束に基づき、他人がある債務を履行しない場合に、その責務を他人に代わって履行する責任を負う人です。

質問2 連帯保証人は普通の保証人と、どんな違いがありますか。

(1)催告の抗弁権、検索の抗弁権がない。
(2)分別の利益がない。
 というのが大きな違いです。

質問3 以上のことは、子が事故や犯罪などで他人に損害を与える、つまり不法行為の場合もあてはまるのですか。

 不法行為の場合、子が成年であれば、親がこれに何らかの関与をしていない限り、責任を負うことはありません。しかし、子が未成熟で、責任能力のない場合には、親が監督者として、当然に損害を補償する責任を負います。

質問4 根保証というのは、どんな保証ですか。

 銀行とその取引先との間などの幾度にもわたる取引の過程において、債務の額の増減が予定されているものについての保証です。

質問5 根保証の中にも種類があるのですか。

 限定保証という、保証する限度額が定められているのに対して、包括保証については、保証する金額に制限はありません。

質問6 保証人として負担する借金などの債務も相続されるのですか。

 はい、そのとおりです。

質問7 根保証の場合は、いつの時点の借金について、相続人としての保証責任がありますか。

 その後に債務の金額が増減したとしても、被相続人が亡くなった時点での金額です。


第二回「この話、ほんと?」(さるぼぼ倶楽部平成11年12月号掲載)

質問1 契約書に押す印鑑は、実印ではなく認印でもよい。

 ほんと。契約書に押される印鑑は、その人が確かに書かれているとおりの意思表示をしたかどうかというときに、そこに使われている印鑑が、その人のものと証明されれば、その人がこの契約を調印したものと法律上推定されます。

質問2 乙の保証人になっていた父親丙を相続した甲は、その保証人の責任を負わなければならない。

 ほんと。保証には、個別保証(1回の特定の貸付についての保証)と根保証(一定の金額又は、期間で仕切られた数度にわたる貸付すべてについて及ぶ保証)とがあり、根保証の場合、丙が亡くなった後、乙と貸主の取引が続いていても、相続開始当時の貸付残額に限って保証の責任を負います。

質問3 甲は、破産宣告(破産手続開始決定)を受けたことによって、借金その他の債務を支払わなくてもよい。

 うそ。破産宣告(破産手続開始決定)を受けても、その後に免責決定という裁判をもらわないと、債務を免れることができません。また、免責があっても、@租税、A悪意の不法行為による損害賠償、B雇人の給与、C雇人の預り金・身元保証金・罰金、科料、追徴金・過料など支払の責任を免れない債務もあります。


第三回「遺言書」(さるぼぼ倶楽部平成12年2月号掲載)

質問1 なぜ遺言書を作ると良いのでしょうか。

 大きくいえば法定相続分と異なる相続をさせようとする場合や、相続人たちの人間関係からみて、円満な遺産分割の協議が期待できないような場合に役立つからです。

質問2 法律で決まっている相続の方法だと、どんな不都合が生まれるのですか。

 例えば、子どもが数人いる場合にその中の誰かだけを特別に扱う必要があったり、法律で相続分が決まっていても、現実に存在する様々な遺産を具体的にどう分けるかの協議の成立が困難な場合があります。

質問3 何故、口で述べるだけではなく書面にしておかないといけないのですか。

 問題になったとき本人の意思を確かめようと思っても、すでに亡くなっているため、確かめようがないので書面の存在が証拠となるのです。

質問4 遺言には種類がありますか。

 いろいろありますが、遺言書の全文を遺言者本人が自筆する自筆証書遺言と、二人以上の証人の立ち会いの中で、遺言者が公証人に遺言の内容を述べ、公証人がこれを筆記して遺言者と証人に読み聞かせ、これが正しいということになると遺言者、証人が署名・押印し、公証人が方式通り作成したことを付記して署名・捺印をするという方式をとる公正証書遺言が大半を占めています。

質問5 遺言についてもっと知りたいのですが。

 公証人役場で公証人に相談すれば、無料で親切に指導してくれます。


第四回「日照通風被害」(さるぼぼ倶楽部平成12年4月号掲載)

質問1 今度お隣が家を新築するのですが、図面を見せてもらったところ、私の家の方への日当たりや風通しが、前より極端に悪くなることがわかったのです。

 建物の高さを低くしたり、境界からもう少し離すなど建てる位置を変えてもらうようにお願いはしてみましたか。

質問2 頼んでみたのですが、建築をするための役所の許可はもらっているのだから問題がないの一点張りで話になりません。

 建築をする許可をもらっている、つまり、建築基準法に違反していなくても、日照時間が非常に少ないとか、通風状態が悪くて、受忍限度を超えていると認められるときは日照時間や通風状態が改善されるよう相手に請求することができます。

質問3 受忍限度というのはどういうことですか。

 分かりやすく言うと、社会一般的にみて、被害者がそれを我慢しなければならない程度かどうかということです。

質問4 どんな場合に受忍限度を超えているといわれるのですか。

 相手の建物だけでなく、あなたの建物の周りの状態もみて判断されるので、一定の基準をいうことはできません。

質問5 具体的には、どのような手続きを取るとよいでしょう。。

 相手の建物が建ってしまったら手遅れになりますから、早い時期に建築の差止めなどの手段を検討されるのがよいと思います。


第五回「名前の変更(その1)」(さるぼぼ倶楽部平成12年7月号掲載)

質問1 自分の名前を通称ではなく、戸籍上も変更することはできますか。

 はい。法律上、「正当な事由」がある場合に家庭裁判所の許可を得て、戸籍上も名前の変更ができることになっています。

質問2 どんなときに「正当な事由」があるとされていますか。

 いろいろなケースがありますが、代表的なものとしては、@職業上の必要性、A難解、珍奇な名前、B長年使用の通称などがあげられます。
 また、帰化したサッカー選手のロペスやルイ(ラモス)のように、もとの名の音に漢字をあて、これを戸籍名にした例はあなたもご存知でしょう。

質問3 難解とは、どんなことをいうのですか。

 難解というのは、使われている漢字の読み方がわかりにくく、社会生活上支障がある場合のことです。

質問4 根保証というのは、どんな保証ですか。

 銀行とその取引先との間などの幾度にもわたる取引の過程において、債務の額の増減が予定されているものについての保証です。

質問5 珍奇な名前には、どんなものがありますか。

 案山子(かかし)、和尚(かずなお)、おかめなどの例があります。

質問6 通称として長年使用していたというのは、何年くらいのことをいうのでしょうか。

 使い始めたときが幼少からなのか、相当な年齢を経てからなのか、また、通称をやむを得ず使っているのかなど、さまざまな事情を考えて認められるので一概にはいえませんが、短い期間のもので7年という事例があります。


第六回「名前の変更(その2)」(さるぼぼ倶楽部平成12年8月号掲載)

質問1 私(40代女性)の場合は、姓名判断で戸籍名の花子ではなくて、華子の方がいいといわれたので、18歳のときから華子で通してきました。戸籍上もこの名に変えることはできますか。

 あなたの場合は、20年以上使っているのだから大丈夫だと思いますが、長年使用していることを裏付ける資料があるとよいですね。

質問2 その資料としてどのようなものがよいのでしょうか。

 もし通称を使い始めたときに知人宛に通称を使うことを知らせる挨拶状などを出していれば最も有効でしょうし、あなた宛に通称で来た年賀状も消印や年号が入っているので、多年にわたって用意できると有効だと思います。また、結婚式の配席表などにあなたの通称が使ってあれば、これもよいでしょう。このような例を参考にして資料を探してみたらどうでしょうか。

質問3 家庭裁判所の許可とは、どういう方法でもらうのですか。

 家庭裁判所に名の変更の許可の審判の申立てをすると、審理をした上で、許可をしてくれます。この申立書は家庭裁判所に定型的な用紙がありますから、それを使うとよいでしょう。

質問4 申立をする際に、どんなものを用意しなければなりませんか。

 申立書のほか、あなたの戸籍謄本と先ほどお話したような資料が必要です。

質問5 費用はどれくらいかかりますか。

 申立手数料(印紙代)の600円と郵便切手代240円です。

質問6 そうすると、自分で申立すれば1000円もかからないのですね。

 そうです。わずか1000円弱で、そんなに幸せにしてもらえる手続きはそうはないでしょうし、ぜひ許可をしてもらいたいものですね。


第七回「落とし物(遺失物)」(さるぼぼ倶楽部平成12年9月号掲載)

質問1 落とし物をそのまま自分のものにしてしまう、つまりネコババをすると、どんな罪になりますか。

 遺失物横領という罪で、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処されます。持ち主がわからない場合、警察に届出をしなければなりません。

質問2 その後、持ち主がわかった場合はどうなるのですか。

 落とし物は持ち主に返されますが、持ち主は拾ってくれた人に、その物の価値の5から20パーセントの範囲内で報労金の支払、つまり金銭でのお礼をしなければなりません。
 正直者は報われるということです。

質問3 手帳のように、その落とし物が持ち主以外の人には価値がないような物の場合、報労金はもらえるのですか。

 もらえなくはないのですが、客観的価値が不明なわけですから、報労金の額の算定が難しくなりますね。
 実際的には、持ち主の気持ちという形で何らかのお礼がなされることになるでしょう。

質問4 持ち主が現われなかった場合はどうなりますか。

 落とし物についての公告がされた後、6ヶ月以内に持ち主が現われないと、その物は拾った人の所有になります。埋蔵物、つまり地面を掘っていて出てきたお宝のような物は、その土地の所有者と折半することになります。

質問5 これまでのお話は、どんな場所で拾った場合にもあてはまるのですか。

 船、航空機、列車、公会堂のように多くの人が集まり、ある会社、団体などが管理しているような場所で拾った場合は、その管理している会社などに届出をしなければなりません。

質問6 その場合、報労金はもらえるのですか。

 もらえますが、届出を受けた会社などと折半しなければなりません。


第八回「内容証明郵便」(さるぼぼ倶楽部平成12年10月号掲載)

質問1 内容証明をもらってドキッとしたという話をよくききますが、内容証明とはどういうものでしょうか。

 正式には内容証明郵便といいますが、文書の内容と差出した日付を郵便局に証明してもらえる郵便です。

質問2 どうして、そのような郵便があるのですか。

 後々の証拠として利用するのに便利だからです。

質問3 どうして便利なのですか。

 相手に対し、権利、義務や重要なことがらを通知したということ、また、それが何日にとか、一定の期限内になされたということについて、郵便局という公の機関の証明があるため、簡単に立証ができるからです。

質問4 内容証明を出すのに、きまりごとがありますか。

 郵便局には、相手に配達される文書と同じものを、さらに2通用意していかなければなりません。

質問5 それはどうしてですか。

 郵便局の照明を受けた後、1通は郵便局に保管され、もう1通は差出人の手もとに残しておくためです。

質問6 文書の形式にもルールがありますか。

 字数や行数の配分などの制限がありますが、文房具店に内容証明郵便に使うための用紙が売ってあるので、それを利用するとまちがいないでしょう。

質問7 そのほかに大切なことはありますか。

 通知が相手に何日に届いたかが重要なことが多いので、相手にいつ配達されたかを証明してもらえる配達証明付の内容証明郵便で差出されるのがよいでしょう。


第九回「氏(姓、名字)と戸籍(その1)」(さるぼぼ倶楽部平成12年11月号掲載)

質問1 先ず、基本的なことですが、氏はどのようにして決まるのですか。

 生まれたときに両親が結婚している場合、両親の氏になり、両親が結婚していない場合は母親の氏を称することになります。

質問2 いったん決まった氏は、どんな場合に変わりますか。

 ある身分上のできごとがあったときに変わる場合と、身分上のできごとに関係なく本人の意思によって変わる場合があります。
 いずれも戸籍上の届出が必要です。

質問3 その身分上のできごととしては、どのようなことがありますか。

 @婚姻(結婚)、A離婚、B養子縁組、C離縁(養子縁組の解消)、D夫婦の一方の死亡があげられます。

質問4 結婚の場合は、どのようにして変わるのですか。

 夫婦になる者同士の話し合いで、どちらの氏を称するかを決めて、婚姻届をすることによって決まります。

質問5 離婚の場合、どうなるのですか。

 結婚によって氏を変えた者が、婚姻中の氏をそのまま称するか、結婚前の氏に戻るかを選んで、戸籍上の届出をすることによって決まります。

質問6 ついでにお聞きしますが、結婚によって氏を変えた者が離婚をすると、誰の戸籍に入るのですか。

 離婚後も婚姻中の氏をそのまま称する場合は、その者を筆頭者とする新しい戸籍が作られます。
 また、結婚前の氏に戻る場合は、両親の(もとの)戸籍に戻るか、自分を筆頭者とする新戸籍を作るかの選択をすることができます。
 以上のような3通りの方法を選択することができます。


第十回「氏(姓、名字)と戸籍(その2)」(さるぼぼ倶楽部平成12年12月号掲載)

質問1 離婚によって婚姻前の氏に戻ることにしたけれども、後で気が変わって婚姻中の氏を使用したいときはどうしたらよいですか。

 離婚の届出をした日から3ヶ月以内であれば、戸籍上の届出をすることによって婚姻中の氏に戻すことができます。

質問2 逆の場合、つまり、離婚の際、婚姻中の氏を使用するという届出を出していたけれども、後になって婚姻前の氏に戻りたくなったときはどうなりますか。

 これについては、許可するという規定はないのですが、「やむを得ない事由」があるときは、家庭裁判所の許可により、変更が認められることがあります。
 婚姻中の氏が社会的に定着していないなるべく早い時期に、許可の申立をされるとよいでしょう。

質問3 離婚した夫婦の子の氏はどうなりますか。

 夫婦が婚姻中に称していた氏をそのまま称することになります。

質問4 例えば、その子が未成年で、両親の婚姻中に父の氏を称していた場合、この親権者が母であっても、父の氏を称することになるのですか。

 そうです。親権者が父母のどちらかということと、子がどちらの氏を称するかということは直接の関係はありません。
 そのため、母と同居していても、父の氏を称しているので、その子は父の戸籍に入ったままになります。

質問5 住民票の上では、どうなりますか。

 母と子が同一の世帯にいますから、氏は別々のままで、同一の住民票に記載されることになります。

質問6 ややこしくて、実際上、不便なことも起きますね。

 その不便の解消方法は、次回に述べることにしましょう。   (続く)


第十一回「氏(姓、名字)と戸籍(その3)」(さるぼぼ倶楽部平成13年新春号掲載)

質問1 離婚した夫婦の子が親権者である母と同居しているけれども、父の氏を称している場合、その不便を解消する方法はありますか。

 子が15歳未満のときは、親権者である母が自分だけの意思で家庭裁判所の許可を得て、子の氏を母の氏に変更することができます。
 子が15歳以上のときは、子の意思に基づき、その代理人として上記のような氏の変更の許可の申立をします。
 許可の決定書を添えて戸籍上の届出をすると、子は親の戸籍に入ります。

質問2 そのようにして氏の変更をした子が、後に父の氏を称したくなったときはどうしたらよいのですか。

 法律は、そのようなことがある場合も予想して、子が成年に達したときから1年以内に戸籍上の届出をすることにより、従前の(父の)氏に戻すことを認めています。
 この場合、家庭裁判所の許可はいりません。

質問3 養子縁組をすると、氏はどうなりますか。

 養親の氏を称することになります。ただし、結婚して夫(妻)の氏を称している人が、夫(妻)とは違う氏の養親として縁組みした場合は、夫(妻)の氏をそのまま称し続けます。

質問4 離縁した場合、どうなりますか。

 養子縁組する前の氏に戻りますが、養父、養母のうちの一方だけと離縁した場合は、そのままの氏を称します。

質問5 縁組や離縁は、養父母夫婦と一体となってするものではないのですか。

 もともとはそのとおりでしたが、近年の法改正で、未成年者を養子にする場合を除いては、夫婦の一方だけが単独で養親として縁組することができるようになり、また、夫婦揃って養親になっていた場合でも、一方だけが単独で離縁できるようになりました。


第十二回「氏(姓、名字)と戸籍(その4)」(さるぼぼ倶楽部平成13年2月号掲載)

質問1 今までに挙げられたほかに、氏の変更ができる場合はありませんか。

 前にも出てきたと思いますが、「やむを得ない事由」があるときは、戸籍の筆頭者が家庭裁判所の許可を得て、氏の変更をすることができます。
 もし、結婚をしている場合、配偶者と共同で許可の申立をしなければなりません。
 氏の変更を許可すれば、同一の戸籍にあるすべての者の氏が変わってしまうわけですから、名の変更に比べると許可される可能性は格段に低くなります。

質問2 その他にはどうですか。

 外国人と結婚した者が、その外国人の氏を称したいとき、結婚の日から6ヶ月以内であれば、戸籍上の届出をすることによってその氏に変更することができます。
 この場合、家庭裁判所の許可はいりません。

質問3 外国人と結婚してその氏に変更した者が離婚した場合、元の氏に戻ることができますか。

 離婚だけでなく、婚姻の取消や外国人である配偶者が死亡した場合には、そのときから3ヶ月以内であれば、家庭裁判所の許可を得ることなく、戸籍上の届出をするだけで元の氏に戻ることができます。

質問4 この10年くらい前から、夫婦別姓制の採用が重大な関心事となっておりますが、どうなるでしょうか。

 男女の社会平等のほか、子どもの氏の決め方、祖先の祭祀との関連など、家庭制度のさまざまな問題がからんでくるので、どうなるか予断を許しませんが、氏に対する国民の価値観がこれから先変動していくことは避けられないことだと思います。


第十三回「公正証書」(さるぼぼ倶楽部平成13年3月号掲載)

質問1 よく、契約その他の約束がまとまったとき、これを公正証書にしておくと良いといわれますが、公正証書とはどのようなものですか。

 公証人役場で執務をする公証人という特別職の公務員が、当事者の嘱託(依頼)によって権利関係について作成する文書のことです。

質問2 一般の契約書でなく、公正証書にするとどのような点が良いのですか。

 重要なものとして3つ挙げられますが、まず第1は、公証人は、弁護士と同様に法律の専門家ですから、依頼人の求める目的に沿った的確な内容の契約文書にしてもらえることです。

質問3 その次には、どんな点が挙げられますか。

 裁判その他で証拠として利用するとき、一般の契約書と比較して高い証拠力が認められることです。

質問4 もう1つは、どんな点ですか。

 これが最も大切なことですが、借入金、養育費、慰謝料など金銭の支払約束を公正証書にし、約束に違反したときには強制執行を受けるという文言(これを強制執行受諾文言といいます。)を付け加えてもらうと、違反をしたときに、その公正証書に基づいて、直ちに強制執行することができます。

質問5 一般の契約書では、そのようなことができないのですか。

 どんなに立派な内容であっても、その契約書を証拠にして訴訟や調停の申立をし、判決や調書にしてもらわないと強制執行はできません。
 これは、手形にしてもらっていた場合でも同じです。

質問6 公正証書の作成を依頼するときは、どうしたらいいのですか。

 あらかじめ用意する書類その他の準備や手数料が必要なので、事前に公証人役場に問い合せてから出向かれるとよいでしょう。


第十四回「慰謝料」(さるぼぼ倶楽部平成13年4月号掲載)

質問1 よく、離婚、名誉毀損、交通事故などで慰謝料という用語が出ますが、これは、正しくはどういう意味ですか。

 違法に他人に損害を与えることを不法行為といい、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できますが、そのうち精神的な損害についての賠償を一般の損害賠償と区別して慰謝料といいます。

質問2 いまひとつピンとこないのですが。

 例えば交通事故でけがをした場合、入通院にかかる治療費、仕事を休まなければならなくなったことによる休業損害、後遺症が残ったことにより失われる将来の利益(逸失利益)などが代表的な損害です。
 それらの具体的な損害が損害賠償の対象になるのはもちろん、けがを負ったことによる精神的な苦痛も損害として、その賠償請求ができますが、これを慰謝料というのです。

質問3 不法行為によって精神的苦痛などの精神的損害を被ったときは、常に慰謝料が請求できるのですか。

 不法行為によって、生命、身体、自由、名誉、貞操などの人格的な利益そのものが侵害された場合に限って請求することができるのです。
 したがって、交通物損事故で大切にしていた車が壊されたときには、どんなに精神的ショックを受けたとしても慰謝料の請求はできません。

質問4 慰謝料の金額に基準はありますか。

 交通事故など限られたものについては明確な基準ができていて、最も高額なのは、死亡や両眼失明といった高度な障害に対する3000万円です。しかし、離婚や名誉毀損などその他のものについては、特に明確な基準はなく、ケースバイケースになってしまいます。
 精神的苦痛というものが、金銭に評価することが困難なためですが、専門家に具体的事情を説明した上で判断してもらうことになるでしょう。


第十五回「扶養」(さるぼぼ倶楽部平成13年5月号掲載)

質問1 扶養義務ということをよく聞きますが、扶養とはどういうことですか。

 幼年、老齢、傷病、失業などの原因で自分の力だけで生活していけない者に対して行なう生活上の援助のことで、生活費や養育料などの支払という形で行なわれます。

質問2 どのような身分関係にあると扶養義務が生ずるのですか。

 親子、孫、祖父母といった直系家族や兄弟姉妹の間では互いに扶養する義務があり、特別の事情があれば、家庭裁判所の審判によって、三親等内の親族(例えば、おじ、おばとおい、めいとの間、よめ、むことしゅうと、しゅうとめとの間)においても義務を負わされることがあります。

質問3 扶養義務のあるものが複数いるときは、どのような順序で扶養義務を負うことになりますか。

 法律では、扶養をし又は受ける順序について明確な基準を定めておらず、先ず当事者間で協議し、協議がまとまらないときは家庭裁判所で決定してもらいます。扶養の程度や方法についても同様です。

質問4 一旦決まった扶養義務者、扶養の程度や方法について、その後変更することはできますか。

 決定時に当然に予想できなかった特別な事情の変更が生じた場合には変更も可能で、先ずは協議、まとまらないときは家庭裁判所の審判によります。

質問5 ということは、一旦決まった養育料の月額についても変更することができるのですね。

 そうです。なお、養育料として一時金でまとめて支払を受ける代わりに、将来いかなる事情があっても養育料の請求をしないという合意(約束)が交わされることがありますが、これには一応の効力が認められるとしても、将来、その合意の当時に予想しなかったような事情で養育の費用が必要になったときには、改めて養育料の請求をすることができます。


第十六回「遺留分」(さるぼぼ倶楽部平成13年6月号掲載)

質問1 私の母が亡くなり、その遺産の全部を兄に相続させるという遺言書を残しておりますが、私には母の遺産について何の権利もないのですか。なお、私は兄と妹との3人きょうだいで、父は母より前に亡くなっています。

 あなたは、遺言書の内容にかかわらず、遺産の中から法定相続分の2分の1に相当する額の財産、つまり遺留分を取戻す請求をすることができ、これを遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)といいます。
 あなたの法定相続分は3分の1ですから、その2分の1に相当する6分の1の遺留分gがあるので、遺言で遺産の全部を取得した兄に対し、そのうちの6分の1に相当する財産の取戻の請求をすることができるのです。

質問2 その権利は、具体的にどのように行使するのですか。

 その権利は、相続が開始したこと、つまりお母さんが亡くなったことと、お母さんがあなたの遺留分に配慮しない内容の遺言を残していたことを知った時から1年以内に行使しないと、時効によって権利が消滅してしまいますから、まず、兄に対し遺留分減殺請求の意思表示をすることです。

質問3 それは、どのような方法でするとよいのですか。

 遺留分減殺請求の意思表示をしたこと、それを先ほど述べた1年以内にしたということを明らかにしておくためにも、兄に対する配達証明付内容証明郵便で意思表示をするのが最善です。

質問4 これに兄が応じてくれないときは、どうしたらよいのですか。

 家庭裁判所に対し、調停の申立をします。

質問5 遺留分は、法定相続人であれば誰にでも認められるのですか。

 兄弟姉妹にだけは認められていないので、例えばAが亡くなり、相続人がAの妻とAのきょうだいでであるときに、Aが遺産全部を妻に相続させるという遺言を残した場合、きょうだいらはいりゅうぶんげんさいせいきゅうけんができません。


第十七回「子の行為に対する親の責任」(さるぼぼ倶楽部平成13年7月号掲載)

質問1 子が行なった行為に対し、親が法律上の責任を負わなければならない場合がありますか。

 借金やローン、クレジットのような契約上の債務については、子が成年であれ、未成年であれ、親が保証をしているようなことがない限り、責任を負うことはありません。

質問2 それでも、親が債権者から電話や郵便などで請求されることが多いのはなぜですか。

 債権者は、支払義務がないことがわかっていても、我が子かわいさとか、家庭の平穏を守ために、親がしぶしぶ支払ってくれる例が多いので、だめでもともとと請求をしてくるのでしょう。

質問3 以上のことは、子が事故や犯罪などで他人に損害を与える、つまり不法行為の場合もあてはまるのですか。

 不法行為の場合、子が成年であれば、親がこれに何らかの関与をしていない限り、責任を負うことはありません。しかし、子が未成熟で、責任能力のない場合には、親が監督者として、当然に損害を補償する責任を負います。

質問4 おおむね高校生くらいの年齢になれば、子には責任能力があるでしょうから、その場合は監督者責任がないということになってしまうのですか。

 理屈からいえばそのとおりですが、そうだとすると、ふつう子は支払能力が低いので、被害者への弁償も不十分になってしまい、気の毒ですね。そこで、親に監督上の不注意があった結果、子が不法行為をしたときは、親自身の不法行為として、子とは別に、独自の賠償責任を負わされます。


第十八回「労災と自動車保険による賠償の関係」(さるぼぼ倶楽部平成13年10月号掲載)

質問1 勤務中に交通事故にあい、労災保険給付を受けております。過失相殺の割合は、私と相手方とが2対8といわれておりますが、この場合、労災保険給付と自動車保険による賠償の関係はどうなるのでしょうか。

 この問題について、A実損害額について過失相殺をした後に労災保険給付額を控除する、B実損害額から労災保険給付額を控除した後に過失相殺をする、という二つの考え方があり、判例も二分していますが、A説の方が有力とされています。
 この考え方でゆけば、実損害額が1000万円、労災保険給付額が200万円だとすると、1000万円×80%ー200万円で600万円が損害賠償請求金額になります。


第十九回「子の債務に対する親の責任」(さるぼぼ倶楽部平成14年3月号掲載)

質問1 23歳の息子(同居)が腕時計をローンで購入し、支払を長期にわたり滞納しているということで、ローン会社の人が家に来てはじめて知りました。
 本人が支払えない場合、保証人にはなっていませんが、親は法律的にどこまで責任を負うことになるのでしょうか。

 ローンのような契約上の債務については、子が成年であれ、未成年であれ、親が保証をしているようなことがない限り、責任を負うことはありません。
 ただし、ローン会社などは、親が、我が子かわいさとか、家庭の平穏を守るためにしぶしぶ支払ってくれる例が多いので、ダメでもともとと考えて、請求してくることもあります。
 もし、親の情で支払おうという気になった場合でも、(1)他に借入先がないか確認する、(2)親に対する返済責任を持たせる、などの配慮をした上でないと、せっかくの支援も活かされないことになりますから、念のため付け加えておきます。


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