第6回「慰謝料」

質問1 よく、離婚、名誉毀損、交通事故などで慰謝料という用語が出ますが、これは、正しくはどういう意味ですか。
回答 違法に他人に損害を与えることを不法行為といい、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できますが、そのうち精神的な損害についての賠償を一般の損害賠償と区別して慰謝料といいます。
質問2 いまひとつピンとこないのですが
回答 例えば交通事故でけがをした場合、入通院にかかる治療費、仕事を休まなければならなくなったことによる休業損害、後遺症が残ったことにより失われる将来の利益(逸失利益)などが代表的な損害です。
それらの具体的な損害が損害賠償の対象になるのはもちろん、けがを負ったことによる精神的な苦痛も損害として、その賠償請求ができますが、これを慰謝料というのです。
質問3 不法行為によって精神的苦痛などの精神的損害を被ったときは、常に慰謝料が請求できるのですか。
回答 不法行為によって、生命、身体、自由、名誉、貞操などの人格的な利益そのものが侵害された場合に限って請求することができるのです。
したがって、交通物損事故で大切にしていた車が壊れたときには、どんなに精神的ショックを受けたとしても慰謝料の請求はできません。
質問4 慰謝料の金額に基準はありますか。
回答 交通事故など限られたものについては明確な基準ができていて、最も高額なのは、死亡や両眼失明といった高度な障害に対する3000万円です。しかし、離婚や名誉毀損などその他のものについては、特に明確な基準はなく、ケースバイケースになってしまいます。
精神的苦痛というものが、金銭に評価することが困難なためですが、専門家に具体的事情を説明した上で判断してもらうことになるでしょう。